ケニアのゴミ処理場:ダンドラ(DANDORA)から考える環境問題とは?現地の実態・ドキュメンタリーを紹介

2026年5月6日


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Back Market Japan Tech Lab Team

ケニアの首都・ナイロビにあるダンドラ(DANDORA)という地区には、世界最大級と言えるような非常に広大なゴミ処理場があります。ダンドラに運ばれる大量の廃棄物には衣料品のほかスマホなどの電子機器も多くありますが、環境破壊や労働者の健康被害も深刻化しており、循環型社会の実現が重要となります。今回、Back Market(バックマーケット)では実際にダンドラで取材した内容、現地の方のインタビューなどを基に、電子廃棄物が増える実態や私たちが考えるべきこと・取り組めることなどをご紹介します。

世界最大級のゴミ処理場:ダンドラ(DANDORA)とは?

ダンドラのゴミ処理場について、まずは基本的な情報から見ていきます。ケニア共和国の首都であるナイロビの北東にダンドラ地区がありますが、ナイロビ自体は非常に大きく東アフリカの中心都市として知られています。

ケニアに対するイメージとして、広大なサバンナやサファリといった観光地や、コーヒーや紅茶などの特産品がよくありますが、ダンドラ地区のゴミ処理場についてご存じでない方も多いでしょう。実際、ダンドラのゴミ処理場はとても規模が大きく、サッカー場で25面以上の広さがあります。

このゴミ処理場にある廃棄物はナイロビなどの国内で消費されたものだけでなく、ケニア国外からも持ち運ばれており、1日あたり約850トンほどの廃棄物が集まっています。

ダンドラの現状をBack Marketのチームが実際に視察

Back Marketで働くスタッフが今回、ダンドラの現地へ実際に視察した内容についてレポートします。Back Marketはスマホなど電子機器のリファービッシュ品を取り扱っている企業で、デバイスの寿命を延ばし、サステナブルな社会を目指しています。環境保全に反している現地の実態を確認し、ダンドラのゴミ処理場で働く人々の声を聞くために取材をしました。

👉Back Marketについて:企業の取り組み

なお、ダンドラ現地の様子や労働者のインタビュー内容について、以下のYouTube動画でも公開しています。映像でより詳しく確認したい方は、こちらのドキュメンタリー映画『Dandora: A Fast Tech Story』をご覧ください。

ダンドラの労働者は電子廃棄物などを回収

大規模なゴミ処理場は世界各地にあり、環境破壊やスラム化・人口減少などの傾向も地域によってはありますが、ダンドラのゴミ処理場では多くの労働者がいるといった特徴が見られます。8,000人以上がゴミ処理場を仕事場としており、働く方は「ウェイストピッカー」と呼ばれています。ウェイスト(waste)はゴミという意味がありますので、廃棄物を選び取る人といったニュアンスとなります。

ダンドラのウェイストピッカーは金属や電子廃棄物を中心に探しており、大量にある廃棄物の中からプラスチックやナイロン、電子機器を回収して売却することで生計を立てています。

売却できるゴミは電子廃棄物だけでなく、プラスチックやアルミなどの金属など多数あります。ゴミの山に見えるものでも、入念に探して分別することでお金になります。

労働者は防護具なしで作業:人体への悪影響や健康面の問題を示唆

電子廃棄物などの回収・売却によって、リサイクルが実現しており良いことかと思うかも知れませんが、実際には健康被害が深刻化しています。

ドキュメンタリー動画や以下のキャプチャでもご確認いただけますが、ゴミ処理場の労働者の大半は無防備で作業をしており、マスクすらしていません。

ケーブルの被覆材を燃やして銅線を取り出す作業は稼ぐために必要なことではありますが、確実に労働者の人体へ悪影響を及ぼしています。労働者の中には呼吸器系の疾患やガン、結核などの病気にかかることもあり重大な問題だと言えます。

特に電子廃棄物は有害なものが多く、全体的な廃棄物の量で比べると電子廃棄物はわずか5%ではありますが、有毒な廃棄物の中では電子廃棄物は70%以上も占めます。つまり、スマートフォンやパソコンなどのデバイスがより多く廃棄されると、それだけ人間への健康被害も拡大されていきます。

健康被害はダンドラだけでなくより幅広い地域・人々にも影響

ゴミ処理場における健康被害はダンドラ地区だけでなく、より多くの地域や人々にも影響します。廃棄されるものには鉛や水銀など、1,000種類以上の有害な化学物質も含まれます。汚染はゴミ処理場だけでなく、空気や土壌、水質など様々なところで広がっていき、人々の健康を蝕む毒素は知らないうちに拡散されます。

健康被害において、小さな子どもや妊婦のリスクが特に高いとされており、WHOによると全世界で数百万人以上が健康被害のリスクにさらされています。そのため、電子廃棄物の廃棄に関係のない人も健康面での被害を受けることになります。

ダンドラに多くの電子廃棄物が集まる理由・問題

ダンドラの地区に大量のゴミ・電子廃棄物が集まる要因として、ケニアにおける分別回収システムの問題や近年急速に進む「ファストテック」の問題があります。

ファストテック(Fast Tech)は、スマートフォンやパソコンなどのデバイスについて、短期間で次々と買い替えていくような消費スタイルを意味します。端末やバッテリー寿命を迎えていないデバイスでも、最新の機種が毎年のように登場するため必要でなくてもすぐに買い替え、使い捨てられる現状を示しています。

ケニアの回収システムの問題

スマートフォンや電子廃棄物などの壊れたデバイスが大量にダンドラへ集まる現状について、環境破壊や健康被害の観点から改善するべきでしょう。しかし、実際にはそう簡単に解決できる問題ではありません。

今回のドキュメンタリー動画の中で、労働者の方が「都合の良いゴミ捨て場」と表現していました。実際、修理の見込みがない電子機器が中古品を装って、アフリカまで輸出されています。ただ、欧米から運ばれる廃棄物はそれほど多くなく、ケニア国内で捨てられたものが大半です。

廃棄物の多くがケニア国内の消費活動から発生している理由として、ケニアにおける公的回収システムの不在が指摘されます。ダンドラのゴミ処理場は地元の修理業者や路上収集者、販売業者によって形成された、非公式な循環経済として利用されています。

一部の企業では廃棄処理コストを削減する目的で、中古デバイスや廃棄物の輸出先としてケニアを利用するケースも考えられます。電子廃棄物を規制する法整備が遅れていることもあり、違法な電子廃棄物の投棄を止めることが難しくなっています。

都合良く利益を得る大企業がいる中で、その代償を払うのは現地の労働者や健康被害を受ける人々です。この経済構造は極めて不平等で、健康被害が生じる廃品回収者の収入は決して高くなく、ウェイストピッカーは貧困と搾取のサイクルに閉じ込められている状況です。

ファストテック(短命化するデバイスサイクル)が急速に進む問題

最近ではスマホやタブレット、ノートパソコンなど多種多様なデバイスが一般社会に浸透していますが、新しい端末デバイスへと買い替えする頻度がより高くなっています。

このような問題について、「ファストテック」とBack Marketでは呼んでいます。短命化するデバイスサイクルの例として、必要以上に最新のスマホシリーズを発売し、古くなったスマホ端末はすぐに捨てられるといった傾向が見られます。

まだ充分に使えるデバイスでも、新しいシリーズが出たことや最新機種への魅力から使い捨てのように買い替えするユーザーも多いのではないでしょうか。

そのため、ファストテックの影響として廃棄物の増加や環境破壊の拡大などが懸念されます。Back Marketのインパクトレポートでも解説していますが、たった1台の新品スマホを生産するだけでも267kgの原材料の採掘量や84kgのCO2排出量が必要とされており、環境破壊だけでなくダンドラで働く人々のような健康被害もより深刻なものとなります。

👉関連記事:なぜファストテックとの決別が地球の未来にとって重要なのか?

人々が最新のスマホシリーズに興味を持てば持つほど、ダンドラへ運ばれる電子廃棄物の量も増えていきます。高性能で新しいデバイスが必要でなくても、各メーカーが利益向上を理由に使い捨ての消費サイクルを促しているといった背景も伺えます。

ダンドラから回収された電子廃棄物はどう使われる?

ダンドラのゴミ処理場で回収された電子廃棄物は、ンガラマーケット(Ngara Market)と呼ばれる市場に集まります。ンガラマーケットは野菜や果物などの食料品や古着だけでなく、中古デバイスや家電など様々な商品を取り扱っています。

ンガラマーケットに回収業者・修理業者が集まる

ナイロビには観光客が多く集まるマサイマーケットも有名ですが、ンガラマーケットは地元の人々の買い物でよく利用されている市場です。ンガラマーケットでは800人ほどの労働者がいて、回収業者や修理業者が集まっています。

ゴミの回収と修理をチームで行っており、廃棄物はゴミ処理場のほか、学校や環境センターなどからも周って収集されます。

一部材料や修理された製品が再利用・販売される

価値のある材料や製品が再利用されており、修理の難しい故障したデバイスは分解されます。素材ごとに分別されて、価値のある部品はWEEEセンター(We Center)に持っていくことで換金できます。

再利用が可能な電子廃棄物はまずクリーニングを行い、マザーボードを取り外します。残った電子ゴミも換金できる部品は売却されます。マザーボードに関してはリサイクル率が高く、製品によっては90%ほどの再利用が可能です。

売却・再利用をするために金属の種類ごとに分別されますが、マザーボードやモーターに使われている銅は比較的価値が高いです。今回のドキュメンタリー動画で登場した労働者の方は、廃棄物の回収だけでなく修理も担当しており、ゴミ処理場で回収した電化製品を他の部品を使って、安価なリサイクル品として提供しています。

ンガラマーケットでは自然と循環型社会が生活に根付いており、修理・販売される製品はスマホのほかノートパソコンやテレビ、ラジオなど幅広くあります。再利用できる廃棄物は多く、本当にデバイスを必要としている方や生活にあまり余裕がない人たちへ、有用な製品が行き渡ります。

ンガラマーケットの労働者の方のインタビューでは、新品のデバイスを購入するお金がある人がほとんどいないといった現状や、品質の良い製品は人気があるものの価格が合わないことから、お手頃な価格で買えるリサイクル品の重要性について触れていました。また、廃棄物だったものを再利用する仕事に関してやりがいがあり、誰かの役に立つという良さもあります。

  • ンガラマーケットで働く方にとって:雇用機会が生まれ生計を立てられる

  • 経済的に余裕がない方にとって:リサイクル品を安く買える

  • リサイクル品の浸透によって:ケニアの電子廃棄物の削減に貢献

労働者と購入者、そして地球環境という観点からも電子廃棄物が再利用されることで様々なメリットが生まれます。

ダンドラの廃棄物・回収業者の健康被害を解消するための対策

ダンドラのゴミ処理場で回収された電子廃棄物について、修理・再利用されること自体は環境保全として大切なのですが、リサイクルに関する方法やルールのほか労働者の健康を守るための改善策も見逃せません。

WEEEセンターの役割:回収業者を支援

正式に許可を得ていないリサイクル事業について取り締まるのではなく、支援するための組織としてWEEEセンターが設立されました。

WEEEセンター(Waste Electrical and Electronic Equipment Centre)は、ケニアの電子廃棄物(e-waste)リサイクルの中心的な施設です。WEEEセンターは膨大な電子廃棄物による健康や環境被害に対し、安全な廃棄代替手段を提供し、循環型経済の推進を目的として活動しています。

環境保護だけでなく安全な環境・リサイクルを実現

WEEEセンターでは、寿命を迎えた電子機器を安全に取り扱うための環境を提供しています。環境保全も重要ですが、非公式な現場で働く回収業者・ウェイストピッカーをトレーニングして、安全なリサイクルを目指しています。

ケーブルの被覆材を燃やして有毒なガスを吸い込むようなやり方をせず、安全に分別できます。また、中古の電子機器は不具合の検査や修理を行った上で、新たなリサイクル品として提供されます。

回収業者などの労働者はWEEEセンターの教育によって、コンピュータの知識やソフトウェアの習得、電子廃棄物の管理に管理に関する重要性も学ぶことができます。若い人材を育てる上で、中古のデバイスは有用な教育ツールとなります。

また、WEEEセンターは環境保護に取り組む起業家を支援する役割もあり、リサイクル事業などのビジネスが広がっていくことで未来ある多くの若者の雇用が生まれます。安全な労働環境の重要性も浸透していくことで、働く人々の健康も守られるでしょう。

ダンドラの実態・ドキュメンタリーから考える私たちの取り組み・できること

ダンドラのゴミ処理場の実態やンガラマーケットでの修理・再利用、WEEEセンターの支援などを一通りご紹介しましたが、ファストテックが進む社会の見直しも今後求められます。

本記事やドキュメンタリー動画から、電子廃棄物における環境問題や人々の健康被害など、直面する問題について少しでも知っていただけますと幸いです。そして、地球環境や人々の健康を守るため、私たちが今すぐにできることとしてファストテックからの脱却が挙げられます。

ファストテック・デバイスの過剰生産は人々を不幸にする

ダンドラのゴミ処理場に多くの電子廃棄物が集まる要因として、ケニアの回収システムの問題もありますが、ファストテックの影響が大きいです。使い捨てのように消耗されていく近年のデバイス大量生産は、環境汚染だけでなく人々の健康被害にもつながります。

サステナブルな社会を目指す上で、ファストテックは相反するトレンドだと言えます。本来であれば長く使えるデバイスを、短期間で捨てて新しい製品に買い替えていく現状に疑問を抱くことが、循環型社会へ進む第一歩となります。

Back Marketでは循環型社会・リファービッシュ品を推進

Back Marketではリファービッシュ品のデバイスを販売していますが、環境問題への意識が強いヨーロッパ諸国と比較として、日本ではまだリファービッシュ品の認知度は低いです。

リファービッシュ品に関する定性の意識調査でもご紹介していますが、リファービッシュスマホ(整備品・再生品)の認知率について、フランスやドイツ、スペインなどの国が90%前後と高い一方で、日本は68%と低い結果が出ています。

日本国内ではスマホなどのデバイスについて、信頼性の高い新品を優先したり大手キャリアでの買い替えが定着していることもあり、デバイスの購入でリファービッシュ品を選ぶ人は少数派となっています。

ただ、年々高額になっていくデバイスの価格事情や、そもそも最新のスマホやパソコンを選んでもあまり性能差がないことから、あえて新品で最新モデルを購入する理由や必要性を感じない方も徐々に増えています。

デバイスの買い替えで新品でなくリファービッシュ品を選ぶことで、購入コストの削減や環境保全の貢献ができます。循環型社会を目指す上でも、リファービッシュ品のようなデバイスを長持ちさせる方法が重視されるでしょう。

デバイスの寿命を長くさせる方法ではリファービッシュ品のほか、端末ごとの工夫もできます。2025年10月にはWindows 10のサポート終了もありましたが、今まで使っていた古いWndowsパソコンを捨てるのではなく、Chrome OSなど代替となるOSへ移行する手段もあります。Back Marketのサイト・お役立ちガイドでは参考になるコンテンツを掲載しており、詳しくはWindows 10のサポート終了による対策で解説しています。

今すぐにできること:新品のデバイスよりリファービッシュ品を優先

ダンドラのゴミ処理場のような、環境破壊や人々の健康被害を引き起こすリスクを軽減するためにも、私たちが今できることとしてリファービッシュ品の利用が推奨されます。リファービッシュ品の環境影響における調査では、CO2排出量や電子廃棄物などの環境影響に関して、リファービッシュ品を選ぶことで平均約90%以上の削減ができます。

リファービッシュ品のデバイスを使い始めるきっかけは以下の通り様々あり、ダンドラのゴミ処理場で起きているような環境破壊を止めるための活動をしたい方や、最新のデバイスの価格や機能性について納得がいかないといった背景もあるでしょう。

  • 最新シリーズのiPhoneが欲しいものの、価格が高くて購入を諦めていた

  • 高額な新品のデバイスを常に選ぶことに対して、疑問を感じる

  • SDGs(持続可能な開発目標)に興味があり、環境にやさしい製品を選択したい

本記事をきっかけに、サステナブルな暮らしを心がけたり環境保全に貢献できるリファービッシュ品の存在に気付いていただけますと嬉しいです。また、Back Marketの運営元や安全性について気になる方は、Back Marketの企業情報・評判に関するページよりご確認ください。

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筆者:Back Market Japan Tech Lab Team

本記事は、Back Marketの品質管理チームを中心に監修しています。実際にリファービッシュ品の実機レビューを行い、独自の品質基準を満たしているかを日々チェックしているプロフェッショナルです。リファービッシュ品の動作検証やデバイス活用術など、読者の方に役立つ情報をわかりやすくお届けします。

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