なぜ「ファストテック」との決別が、地球の未来にとって重要なのか

2025年5月26日


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Back Market Japan

昨年、環境活動家のダンカン・ポーターさんがX(旧Twitter)に投稿した2枚の写真が世界的に注目を集めました。それは15年の時を隔てて撮影されたローヌ氷河の画像で、かつては氷に覆われていた場所が、今やすっかり溶けてしまっていたのです。 この投稿は予想外の反響を呼び、多くの人々に気候危機への疑問を投げかけるきっかけとなりました。

現在、その衝撃的な2枚の写真は、Back Marketが展開する「Let’s end fast tech(ファストテックに終止符を」キャンペーンの象徴となっています。ファストファッションの危険性については長年議論されてきましたが、「ファストテック」には、まだ十分な注目が集まっていません。この環境月間で、私たちはその意識を変えていきたいと考えています。

Rhône Glacier, Swiss Alps, 2009

Rhône Glacier, Swiss Alps, 2024

ファストテックとは?

ファストファッションと同様、ファストテックは「使い捨て」を前提とした構造で、スマートフォンやPCなどの電子機器を、毎年あるいは数年おきに次々と買い替えていくような消費スタイルを意味しています。新しい機種が次々と登場し、本来まだ使えるはずの製品もすぐに古く感じられ、短期間で買い替えるのが当たり前の習慣として定着しつつあります。このような短命化するデバイスサイクルは、大量の電子廃棄物やCO₂排出の原因となっており、環境負荷への影響を大きくしています。現在、世界には160億台ものスマートフォンが流通しており、これは一人当たり2台に相当します。その数は今後も増え続ける見込みです。

2010年以降、世界の電子ゴミ(e-waste)排出量は82%増加する一方で、正式にリサイクルされるのはわずか22.3%しかありません。このままのペースが続けば、2040年にはファストテックが世界の温室効果ガス排出量の14%を占める可能性があると言われています。電子ゴミの削減は、今すぐに取り組むべき課題となっています。

この消費の連鎖に歯止めをかける方法は、私たち一人ひとりの行動にあります。次の新製品を買う前に、まずは今持っているテクノロジーを見直してみましょう。修理できないか?まだ使い続けられないか?その小さな行動が、無駄な廃棄を減らし、地球への負担を軽くすることにつながります。

もし本当に新しいデバイスが必要になったときは、「リファービッシュ(整備済製品)」という選択肢もあります。Back Marketでは、専門家によって整備され、保証もついた製品のみ取り揃えています。信頼できる品質だからこそ、安心して選べるのです。

写真が伝える気候変動のリアル

Back Marketでは、キャンペーンの開始にあたり、ダンカン・ポーターさんにインタビューを行いました。

Q. 再びローヌ氷河を訪れて、変化を目の当たりにした時の気持ちは?

「複雑な感情が入り混じっていました。多少小さくなっているだろうとは思っていましたが、角を曲がった先に氷河がまるで後退して見えたときは、本当にショックでした。氷河というのは、通常は数世紀、あるいは数千年単位で変化するものです。それがたった15年でここまで…喪失感や悲しみを覚えました。まさに“ソラスタルジア(環境変化による郷愁)”という感覚でした。」

Q. 写真を並べた時、どう感じましたか?

「記憶って曖昧ですよね。だからこそ、実際に15年前の写真と現在の光景を並べたときに、『こんなに違っていたのか』と心に突き刺さる思いがありました。」

Q. なぜこの写真を投稿しようと思ったのですか?

「あまりにも無力感が強くて、『これをどう受け止めればいいのか?』と悩みました。投稿は、ほんの一部のサステナビリティに関心のある知人に届けば…という気持ちでした。でも翌朝には通知が何千件も来ていて、昼過ぎには450万ビューを超えていたんです。」

Q. なぜここまで反響があったと思いますか?

「SNSは本当に不思議ですよね。きっと誰かがもう似たようなことをしているだろうと思っていました。でも、あの瞬間の写真とストーリーが、ちょうどよく“心をつかむ何か”になったのだと思います。自分を飾らず、ただ感じたことを素直に共有した。それが多くの人に響いたのかもしれません。気候変動の話をする時って、つい“事実”ばかり並べてしまいがちです。でも本当に大切なのは、“ストーリー”なんだと学びました。わかりやすく、共感できる物語が、人を動かす力になるんです。」

Q. 持続可能な分野で活動をしているとんことですが、「Protect Earth(プロテクト・アース)」という団体とも深く関わっていると聞きました。それはどんな団体で、どうやって関わるようになったのですか?

「私が関わっている『Protect Earth』という小さな団体では、地元の地主と連携して再森林化を進めています。冬の植樹シーズンには、毎年数万本の木を植えるんですよ。ふと振り返ると、後ろに何千本も植わっている。自分が物理的に何かを変えられたって実感できるんです。」

Q. Back Marketと提携し、このキャンペーンに参加することがあなたにとってどんな意味を持ちますか?

「ファストテックの根底にあるのは、“最新のスマホやゲーム機、テレビが必要だ”という刷り込みです。しかしBack Marketのように、常にアップグレードサイクルに依存しないビジネスモデルを示す企業があるのは素晴らしいことだと思います。そのメッセージを広める手助けができることをとても嬉しく思います。

製品を意図的に修理しにくくしたり、部品を入手しにくくする企業が多い中で、私たち消費者が“直して使う”文化を取り戻すことが必要です。」

Q. このキャンペーンに参加することで、テクノロジーと持続可能性に対する考え方が変わりましたか?

「正直、これまでは“どこで買うか”をあまり気にしていませんでした。でも、Back Marketのようにプロが整備し、保証もつけて販売してくれる企業があると知って、本当に考え方が変わりました。“壊れても安心”という信頼があれば、中古品も安心して使えます。」

Q. 未来についてどう感じていますか?環境へのダメージを逆転させることができると希望を持っていますか?

「もちろん、落ち込む日もあります。でも、私がこれまでの活動で一番大事だと思っているのは、“人をつなげること”。 木を植える仲間と新しい人が出会って話す中で、新しい活動が生まれていく。その連鎖に希望を感じます。」

Q. ファストテックについて考えている、リファービッシュ品を購入するか迷っている人に対して、何と言いたいですか?

「リファービッシュ品って大丈夫?と不安になる人もいると思います。でも、“モノを長く使う”ことの満足感って、想像以上に大きいです。新しいモノを次々と買わなくてもいい。自分の手元にあるモノを大切にする。その小さな選択が、未来を変えていく一歩になると思います。」

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筆者:Back Market Japan

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