バルセロナで開催されたMobile World Congressにて、Back Market(バックマーケット)とGoogleは古いデバイスをより長く使い続けることを目的とした画期的なパートナーシップを発表しました。OSのサポート終了などを理由に使えなくなったパソコンを捨てるのではなく、安全かつより長く使い続けることを目的に「ChromeOS Flex インストールUSB」が欧米市場にリリースされました。電子廃棄物を削減する重要性や、スローテック(Slow Tech)を推進するための活動などを詳しく解説します。
スペイン・バルセロナで開催されたMobile World Congressの概要
ChromeOS Flex インストールUSBの詳細について紹介する前に、Back MarketとGoogleのパートナーシップについて発表された「Mobile World Congress」のイベントから説明します。
Mobile World Congress(MWC)はテクノロジー業界の発表イベント・見本市
Mobile World Congress(MWC)はスペインのバルセロナで毎年開催される、世界最大規模のモバイル・通信技術に関する国際見本市です。テクノロジー業界を中心とした企業が世界各地から集まり、通信技術や最近話題になっているAI技術などの発表がされます。
2026年のMWCは3月2日〜5日に開催され、日系企業ではNTTグループや楽天グループ、KDDI、富士通などが出展しました。また、フランスに本社があるBack MarketもMWCに参加しており、登壇の様子などをBack MarketのLinkedInアカウントで動画公開しています。
Back MarketはMWCでGoogleとのパートナーシップを発表
MWCではBack MarketとGoogleが共同で登壇して、Googleとのパートナーシップについて発表しました。以下では登壇者のコメントや専門家へのインタビュー・見解について紹介していますが、内容はBack Marketの英語記事を参考にしています。
Back MarketのCMOであるジョイ・ハワード(Joy Howard)は「Googleの方からBack Marketへ声をかけてきたという事実は、大きな転換点だと感じています。つまり、巨大テック企業であるGoogleが電子廃棄物の問題や、ソフトウェア開発の選択がハードウェアの寿命に与える悪影響について、認識し始めたことを示しています。まさに歴史的な変化が起きているでしょう」と、MWC期間中に開催されたBack Market主催のイベントの舞台裏で語りました。
MWCはこれまで、常に新製品へのアップグレードを促すファストテック文化を象徴していました。ファストテックは短命化するデバイスサイクルを意味しており、必要以上に新しいパソコンやスマートフォンへ買い替え、古い端末が短期間で廃棄される傾向が最近ではより顕著になっています。
しかし今回のBack MarketとGoogleのパートナーシップにより、MWCはファストテックではなく「スローテック」の運動の中心地・イベントへと変わりつつあり、私たち全員にとっても地球環境の観点から前向きな影響をもたらす可能性があります。スローテックはファストテックと反対の意味があり、リファービッシュ品(整備済製品)を販売しているBack Marketが提唱する考え方です。今あるものをより長く使う方法を優先することが、これからの社会で重要となります。
「ソフトウェアのパフォーマンスアップデートがクラウド経由で提供できるようになった今、強制的な買い替えというロジック・仕組みは崩れました。これは地球環境にとって確実にプラスになります。電子機器の寿命をこれまで以上に延ばすことができ、有害な地球規模の悪循環を断ち切る第一歩になるからです」と、ハワードは続けました。
ChromeOS Flex インストールUSBを欧米市場で販売
Googleのパートナーシップにより、Back Marketではパソコンを延命できるChromeOS Flex インストールUSBのリリースを欧州市場で実現しました。
ChromeOS Flex インストールUSBで古いPCを延命
Googleとの新たなグローバルプログラムで、Chrome OS FlexをインストールできるUSBメモリがBack MarketのWebサイトから、2026年3月時点で3ドル(または3ユーロ)と低価格で販売されました。また、非営利団体に対してはオンラインフォームの申請を行うことで無償で配布されます。
インストール用のUSBをパソコンに接続するだけで、GoogleのクラウドベースOSであるChrome OS Flexを簡単にインストールできます。既存のノートパソコンやデスクトップパソコンで使うことが可能で、OSサポートが終了したデバイスでも寿命を延ばせます。
ChromeOS Flex インストールUSBのリリースの背景:スローテックの推進
新しいデバイス・製品を常に作り出すGoogleと、古いデバイスの活用を推進するBack Marketが手を組むことは、意外に思えたかもしれません。Back Marketは再生されたデバイスであるリファービッシュ品を販売しており、新品よりも環境保全に貢献できる目的などでリファービッシュ品を推奨しています。
しかし、Googleのシニアディレクターであるアレクサンダー・クッシャー(Alexander Kuscher)氏は、今回のパートナーシップこそが業界の変化を示していると考えて、以下の通り語っています。
「リファービッシュ市場は2031年までに2720億ドル規模に達すると予測されており、消費者の行動やニーズは大きく変わっています。ユーザーはより長期間のアップデート提供を求めるようになり、”古い”という概念や定義そのものが変わりつつあります」
「この変化はリアルタイムで起きており、Back Marketはそれを体現するブランドです。情報へのアクセスを広げ、既存デバイスに新たな価値を与えるというBack Marketのミッションは、Googleの目指す未来・方向性と合致しています。このUSBプログラムは、デバイスを可能な限り長く使うための具体的な手段をユーザーに提供するものだと言えます」

常に新しいデバイスを購入・買い替えすることでの危険性
クッシャー氏は将来を見据えて、Back MarketとGoogleのパートナーシップが今後さらに拡大する可能性にも言及しています。
「Windows 10を搭載したデバイスは世界に3億8000万台ほど存在しますが、Microsoftのサポート終了により陳腐化する(使えなくなる)リスクがあります。そのため、できる限り多くのデバイスがChromeOS Flexで延命されることを期待しています。Back MarketとGoogleのパートナーシップにより、パソコンだけでなく他の多くの電子機器分野でも、この取り組みの恩恵が広がるはずです」
MWCの発表イベントでは、Back Marketのドキュメンタリー作品である『Dandora: A Fast Tech Story』も上映されました。ケニア・ダンドラのゴミ処理場で働く人々の日常を描いたこの作品は、早期に廃棄された電子機器から価値のある資源を取り出すために、有害な化学物質にさらされながら働く現実を浮き彫りにしています。
現地のインタビューや詳しい内容について、ダンドラ(DANDORA)から考える環境問題とは?のページでご紹介しているほか、以下のYouTube動画から日本語字幕でご覧いただけます。
イギリスの環境ジャーナリスト・科学ライターであるガイア・ヴィンス(Gaia Vince)氏は、MWCで開催されたBack MarketとGoogleのイベントにて、パネルディスカッションに登壇しました。
ヴィンス氏は両社のパートナーシップをきっかけに、ケニアのダンドラにある電子廃棄物の処理場が減るとともに、国際社会にとって恥ずべきものとなることを期待しており、「計画的陳腐化は犯罪だと私は考えています」と述べました。

国連訓練調査研究所(UNITAR)によれば、2022年に世界で発生した電子廃棄物は6,200万トン以上に達し、その増加スピードは正式に回収・リサイクルされる量と比較して5倍の速さとなっています。本当に交換する必要が生じる前に買い替えられてしまうデバイスが増えるほど、埋立地やサプライチェーン、新たなハードウェア・製品の製造に必要な資源の負荷を増大させることになります。
ファストテック(短命化するデバイスサイクル)の見直しでできること
MWCのパネルディスカッションでヴィンス氏は、「これまで私たちは、消費者に絶えず新製品を買わせるような消費文化の中にいました」と付け加えました。
「しかし、GoogleとBack Marketのこのようなパートナーシップは、その在り方を見直す集団的な動きの一部だと感じます。電子廃棄物は世界の廃棄物総量の5%に過ぎませんが、世界の廃棄物毒性の70%を占めているため、今すぐ行動を起こすことが重要です」とヴィンス氏が指摘するように、電気廃棄物の増大は深刻化しています。
ChromeOS Flex インストールUSBのリリースによる今後の影響とメリット
Googleとのパートナーシップの重要なポイントの一つとして、ChromeOS Flex インストールUSBを非営利団体にも提供する点が挙げられます。ChromeOS Flex インストールUSBを無償配布することで、古いパソコンを使い続けざるを得なかった組織にも新たな選択肢が生まれます。

Googleのクッシャー氏は、このような取り組みによりファストテックに潜む階級格差をある程度解消できると述べています。
ファストテックが進む昨今の社会では、パソコンなどのデバイスをアップグレードする費用がない個人や組織が不利な立場に追い込まれ、結果として目的に適さない古いOS・デバイスを使い続けざるを得ない状況が生まれています。ただ、低価格でChromeOS Flex インストールUSBをリリースすることで、誰もが利用できるようになります。
「ユーザーや顧客には、手頃な価格で入手しやすく、かつ安全なOSを利用する権利があります」と、クッシャー氏は付け加えました。「Chromebookが教育分野で成功したのも、私たちGoogleが価格を抑えつつ良質な体験を提供したことが要因です。しかし、今回のFlexとBack Marketの取り組みは、さらに次のレベルへ引き上げられると考えています。なぜなら、このパートナーシップでNGOや学校にも恩恵をもたらす可能性があるからです」
「ハードウェアは”一度使ったら終わり”ではありません。Back Marketとのパートナーシップを通して、私たちGoogleは学生や従業員に対して、彼らが学習などで使用するデバイスをより使い続けられるようにする責任があります」
クッシャー氏のコメントで、業界の変化や”古い”という概念の移り変わりについて上記でも触れましたが、常に新しい製品を生み出すGoogleなどのメーカーは販売して終わるのでなく、全てのユーザーに長くデバイスを使ってもらうための活動こそ、現代の社会が求めていることだと伺えます。
Back Marketの使命:リファービッシュ品をより社会に浸透させる
では、Googleとのパートナーシップをきっかけに、Back Marketは次に何を目指すのでしょうか? Back MarketのCEOのハワードは、可能性は無限でAppleやSamsungといった他のファストテックブランドと協力して、リファービッシュを前提とした社会への移行を進めたいと考えています。
「Googleとのパートナーシップを通じて、Back Marketは修復者(ヒーラー)のような存在になりつつあります」とハワード氏は締めくくります。
「何かを修復するには、まず問題の存在を認識する必要がありますがGoogleがその問題を認めた今、他の企業も同じように動けるはずです。それがBack Marketの役割で、私たちは大手テック企業に緊張感を与え続けます。そして、Googleとのパートナーシップは世界的な修復の旅の始まりに過ぎません」
Back MarketのCEOは、今回のGoogleとのパートナーシップで実現したChromeOS Flex インストールUSBのリリースは始まりに過ぎず、ファストテックを推し進める大手企業・メーカーとの協力を増やしていくと考えています。
Back Marketはフランスなどの地域を中心に知名度が高く、環境問題への意識がより強いヨーロッパでは、電子廃棄物の削減に貢献できるリファービッシュ品(整備済製品)が広く普及しています。リファービッシュ品をより社会に浸透させることで、短期間でデバイスを廃棄せず、長く使うスローテックの革命が広がり環境保全が進むでしょう。
リファービッシュ品に関する環境影響の調査について、詳しくはBack Marketのインパクトレポートで解説していますので、気になる方はぜひご参照ください。
スローテックで貢献できるChromeOS Flexがおすすめなユーザーの傾向
ChromeOS Flexの導入によりOSサポートから外れた古いパソコンも長く利用できますが、おすすめするパソコンユーザーの傾向についてまとめました。
macOS・WindowOSなどOSの種類にこだわりがない方
ChromeOS Flexでは、Androidアプリや一部のPCハードウェアが非対応で使いづらい点もありますが、macOSやWindowsOSなど、特定のOSにこだわりがなく一般的なパソコンの操作・利用ができれば問題ないユーザーにおすすめです。
また、ChromeOS Flexでは低スペックのパソコンでもサクサク動く仕様で、処理性能が高くないノートパソコンでも導入しやすいです。OSやメーカーの種類、スペックについてそこまで詳しくなく、パソコンの買い替えがもったいないと感じるならChromeOS Flexを活用してみるといいでしょう。
Windows 10のサポート終了で買い替えするべきか悩んでいる方
Windows 10のサポート終了に伴う対策・使い続ける方法で、他社のOSに切り替える手段がありますが、その中でもChrome OS Flexはインストールが簡単です。2025年10月14日にWindows 10のサポートが終了して、Windows 11のアップグレードに対応していないパソコンで今後の利用や買い替えで悩んでいる方は、Chrome OS Flexの導入により解決できます。
ChromeOS Flexはセキュリティ構造が高度で、プライベートだけでなくビジネスシーンでも有用です。最近では会社・組織単位でパソコンを導入する際にも、低コストで運用がしやすく安全面で評価されるChromeOS Flexが選ばれるケースが増えています。
費用をかけずに使用しているパソコンを延命させたい方
パソコンの買い替え費用をかけたくない方や、新しいデバイスへのデータ移行が面倒という場合には、ChromeOS Flexでパソコンを延命する方法がおすすめです。
ChromeOS Flexは低コストでの導入が可能で、専用のChromeOS Flex インストールUSBがなくても、8GB以上の容量があるUSBメモリを用意できればGoogle Chromeから無料でインストール・導入することができます。
専用のChromeOS Flex インストールUSBでは、作業がより早く再利用もしやすいメリットがありますが、パソコンの操作に慣れている方なら個人のUSBメモリから手軽にChrome OS Flexをインストールできます。詳しくは以下の動画でも手順を説明していますので、気になる方はご参照ください。
日本でもChromeOS Flex インストールUSBを導入
欧州市場に続き、日本でもChromeOS Flex インストールUSBの導入が開始される予定ですが、本格的な販売前の展開で、期間限定のプレゼントキャンペーンを実施します。
日本市場でもChromeOS Flex インストールUSBが使えるようになる
Back Market Japanは2026年8月5日に、Google社とのパートナーシップを発表しました。これにより今後、日本でもChromeOS Flex インストールUSBの購入ができるようになります。本格的な販売はこれからですが、SNSのプレゼントキャンペーンも実施しますので気になる方は以下のキャンペーン情報や特設ページをご参照ください。
👉ChromeOS Flex USBキーに関する特設ページはこちら!
Windows 11に対応していない古いパソコンを引き続き使いたい方や、環境保全への貢献を意識されている方にとってChromeOS Flex インストールUSBが役立ちます。
Back MarketではSNSよりChromeOS Flex インストールUSBのプレゼントキャンペーンを実施
2026年8月8日の「リユースの日」にあわせて、Back MarketではX(Twitter)で抽選100名様に当たるプレゼントキャンペーンを期間限定で実施します。Back Marketの公式Xアカウントからキャンペーン内容をご確認いただけますが、詳細は以下の通りです。
<ChromeOS Flex インストールUSBのプレゼントキャンペーン詳細>
応募期間:2026年8月5日(水)11:00 〜 8月14日(金)23:59
応募資格:日本国内在住の方
応募方法:Back Market Japan公式Xアカウント(@BackMarket_JP)をフォローし、キャンペーン投稿をリポスト ※引用リポストおよびコメントを付けての引用リポストは応募対象外となりますのでご注意ください
当選者数:抽選で100名
当選発表:2026年8月下旬予定(当選者へのDM通知をもって発表に代えさせていただきます)
応募時に使用されたXアカウントへのDMにて、当選通知と発送先登録フォームURLを送信させていただきます。DMに記載されている期日までに登録いただく必要がありますので、当選された方はお見逃しがございませんようお願いいたします。
今後もBack Marketの公式Xアカウントでは、キャンペーンの発表や役に立つ情報の配信を行いますので、ぜひフォローいただけますと幸いです。

